障害者雇用は運次第
障害者専門の就労支援施設に通って、障害者枠で働いて、強く感じたことがあります。
それは、障害者雇用は必ずしも障害がある人にとっての楽園ではなく、うまく定着できるかどうかは、かなり運の要素が強いものだということです。
特に、発達障害者にとってはそれが強く当てはまると思います。
そして、企業の側に、私たち一人ひとりの細かい困りごとやニーズに合わせて対応してくれることを望むのは、コスト的にとうてい無理な話です。
いくら特性を説明できて、就職先の理解があったとしても、必ず理解のギャップや、分かってはいるけれど合わせきれない点は生じるようです。
そこでは、私たちが我慢をする必要がどうしても出てきてしまいます。
また、同僚である他の障害者との間にも、トラブルが起きてしまうこともあります。
障害者どうしなら必ず思いやり合えるということは、残念ながらなくて、やはりそりが合わない相手もいます。
私が知っている中には、障害者雇用で就職したものの、職場の誰も扱い方がわからず放置されて、退職を余儀なくされた人がいます。
また、とりあえず勤め続けてはいるけど、重大な人間関係のトラブルを抱えてしまって悩んでいる人もいます。
私は、障害者雇用にも大なり小なり問題はあることを理解し、明るくはない将来の見通しや決してよくない待遇も十分に検討した上で、障害者雇用という道を選択すべきだと思います。
特に、これから進路選択が可能な学生さんには、自分がどのような姿で社会に参加するのか、じっくりと考えて決めて欲しいです。
さて、ここまで悪いことばかり書いてしまいましたが、障害者雇用でいい職場に入れれば、きちんとした配慮を受けながら、(生計を立てられるほどではないと思いますが)それなりの給料がもらえる可能性もあります。
丁寧に調べることや、なるべく多くの情報源とつながることで、よい職場にめぐり合える確率は上がると思いますが、やはり最後は運なのではないでしょうか。
その点は、一般就労の新卒学生の就活と同じなのかもしれません。
障害者雇用に過度の期待をせず、かといって絶望もせず、もしそれが最善の道であるなら、運を天に任せて進んでみるしかないのだと思います。